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Dies irae -Also sprach Zarathustra- レビュー ~永劫回帰の矛盾~ 

2007年12月26日 ()
 

Dies irae -Also sprach Zarathustra- 初回版タイトル    Dies irae -Also sprach Zarathustra-
メーカー   light
発売日    2007年12月21日
シナリオ   正田崇
原画       Gユウスケ
音楽      与猶啓至
プレイ時期  2007年12月
プレイ時間  約20時間
評点      82



以下ネタバレ注意

 
 
『PARADISE LOST の正田崇がおくるlight史上最大の大作』 …であるはずが惜しくも完成度の低い状態で発売されてしまった不遇の作品。もし完全な状態で発売されていたら……とこれほどまでに思う作品もなかなかないのではないだろうか。


作品の元となる設定・世界観構築やグラフィック・サウンド等の演出、システム環境どれも良く出来ている。聖槍十三騎士団や聖遺物、永劫回帰などの設定は私も好きで好きでたまらない。GユウスケによるキャラクターのデザインやCGの彩色も良い。さらにそれらを盛り立てるBGMやムービーを用いての演出も。総じてクオリティのレベルは高い。

それだけの素材はそろっていたはずである。だが出来上がったものは…

企画当初の構想から大きく変わり、大幅な構成の変更が行われたであろうシナリオ。そこには本来入れられる予定だった氷室玲愛及び櫻井螢のルートは見る影もなく全てカットされてしまっている。
一応完結はしているが、不十分な完成度で発売してしまった。これがこの作品一番の失態である。


ならどうすれば良かったのだろうか?
そう、単純に先輩や螢のルートがあったならば多くの人は満足していたであろうか。
かくいう私も先輩ルートはちょっと欲しかったところではある。

だが、本作を通じて一つ考えたことがある。そもそもこの作品にはルート分岐(選択肢)すら必要なかったのではないかと。

本作の主題は“永劫回帰”。そしてそこから生じる“既知感(デジャヴ)”とその“脱却”である。

ここでの永劫回帰とは“一回性の連続”。すなわち、一度あったことが寸分違わず、もう一度、さらにもう一度、と無限に繰り返される時間観のことである。永劫回帰からの脱却については何ら問題はない。作中ではツァラトゥストラとラインハルトによってメルクリウスの策略通りに永劫回帰からの脱却を謀ることができた。
だが、「永劫回帰」及び「既知感」については作中で自ら否定している部分があり矛盾が生じている。それは選択肢による未来の変化、すなわち、ルート分岐である。先ほども述べたように、本来永劫回帰の思想では物事が異なる事象を辿ることはない。ただ同じ時が繰り返されるのだ。もし、この作品がメインルート(マリィルート)のみの一本道であったら何ら問題はない。しかし、選択肢によって分岐されるサブルート(香澄ルート)の存在によって、この永劫回帰に綻びが生じる。サブルートにおいて最後、エリーが
 「あったじゃんこれも。あんたが相打ちになるのだって、デジャヴのうちだよ……」
と言ったことからも、この世界は多分岐世界となっている。記憶ではなく既知感を受け継いだ人物によるループものに近いものなっているのではないかと考えられる。したがって、永劫回帰に矛盾が生じている。

先輩ルート及び螢ルートの不備が悔やまれている本作ではあるが、この不整合性を回避するためにもむしろ香澄ルートも排除してマリィルートのみの一本道とした方が良かったのではないだろうか?

通常の複数分岐の構成の場合、異なる選択肢を選ぶことによる違った視点での物語の展開、異なるヒロインとの個別、そして複数の未来(エンディング)の提示と様々な利点がある。永劫回帰の矛盾には目を瞑らなければならないが、そうした場合の方が作品としては成功したであろう。
しかし、現にそれは失敗している。無理だったのだ。
私は、Dies irae において、マリィルートはメインルートということもあってか良く出来ていると思っている。このルート単体の評価はかなり高い。最低このクオリティで全編作られていたのならと思うところもある。

しかし、残念ながら香澄ルートはあまり良い出来とは言えない。先程も言ったが、「永劫回帰」の矛盾性、さらに香澄ルートでは、スワスチカが8つ揃わないと幹部は出てこれないとなっているのにマリィルートでは8つそろう前にあっさり出て来ていたりする設定の矛盾もある。これはおそらく複数ライターによる弊害であろう。それを証明するようにスタッフロールでは7人の名前があった。おそらく正田崇がマリィルート。中島聖(R.U.R.U.R、Imitation Lover)が香澄ルート、スクリプトや細かい修正を上野健太郎(スクリプトも兼任)、そしてルサルカルートやエロシーンなどちょっとした手伝いに残りの4人がかりだされたのであろう。

そもそも、全ルート(ここでは製品版に先輩・螢を足した4ルート)を期限内に製作することが困難であったのならば、もっと延期をするなりすればよかったのではないか。度重なる発売延期を止めようと無理やり発売したのであろうが、これでOKを出したディレクターの正田崇自身に責任があるだろう。もしかしたら何かしら表に出せない事情がメーカー側にあったのかもしれないが。せっかく正田崇自身が好きに作品を作れる地位にあったのだから、妥協せずにもっと完璧なものを作ればよかったのではないか?


以上より、Dies irae はルート分岐のない一本道の作品にすべきだったと考える。それだと確かに個々のヒロインとのエンディングを用意することは難しい。しかし一つのルートに力をかけれる分、複数ライターではなく全て正田崇がシナリオを書けるだろうし、短期間で完成度も格段に上がったのではないだろうか。ゆえにマリィルートのみを充実させて、もっと個々の人物のをうまく掘り下げていって、戦闘シーンを盛り上げていったら良かったのではないかと思う。



少し酷評しているが、これでも並の作品よりは遥かにおもしろいのは事実。だがもっと高みを目指せたのではないかと思ってしまうのもまた事実。

過去にもこうした不遇の作品はいくつかあった。それは、会社の経営上どうしても出さなければならないということが業界では多い。

例えば、ケロQの「モエかん」

これはヒロインの一人、主人公の秘書・霧島のルートが途中で無理やり終わらされてしまっている。
けれど、ケロQは「モエかん」のファンディスク「モエカす」において見事霧島ルートの補完を果たした。

おそらく「Dies irae」もそこそこ売れて資金も貯まったはずである。だからこそ先述のモエかんのようにリメイクしてもう一度出して欲しい。
幸いにもlightにはAS(Another Story)というシステムもある。もし可能であるならばホームページで公式ASとして修正版を発表するのもいいだろう。それだと制作費が回収できないのであれば、lightお得意の完全版商法で完全版でもいいので、もう一度売り出してもいい。



lightが再びこの「Dies irae」製作してくれることを切に願う。
このような形でこの作品を留めておくのはもったいなさすぎる。


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[2007.12.26(Wed) 08:10] Dies iraeTrackback(0) | Comments(0)
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