11eyes -罪と罰と贖いの少女- レビュー 〜タイトルの真意〜
2008年05月02日 (金)
![]() | タイトル 11eyes -罪と罰と贖いの少女- メーカー Lass 発売日 2008年4月25日 シナリオ LEGIOん , 剣技マナ , 獅子雰麓 原画 萩原音泉 , ちこたむ , 小沢悠 , 鳴海ゆう , KENGOU 音楽 SuperSweep プレイ時期 2008年4月 プレイ時間 約30時間 評点 94 |
古い英語で「少女」の意を示すブランド「Lass」の第4作目は、第2作目の「3days -満ちてゆく刻の彼方で-」 と同じ世界観の侵蝕世界学園伝綺ADV。
平穏な生活を送っていた主人公”皐月駆”とその幼馴染”水奈瀬ゆか”。
ある日、その二人の前で突如世界が「赤い夜」へと変貌してしまう。
そこは、大きな黒い月と赤い空に覆われた世界だった。
同じくして「赤い夜」に巻き込まれた仲間達とともに世界の謎を解き明かしていく――
壮絶な戦いの果てにたどり着く「赤い夜」の真実を前に、駆たちはいかなる選択をするのか……
11eyes -罪と罰と贖いの少女-、燃え系の作品としては久々の良作だった。
始まりから終わりまで、ノンストップで読み進めた作品は久しぶり。時間を忘れて愉しむことができた。
また、自分の最も好きなジャンルの学園伝綺だったこともあり、私は十二分にこの物語を楽しめた。
本当にこの手のものに目がない私。本作は設定からストーリーからキャラデザに至るまでもう何から何まで自分好みでもうたまらなかった。
こうして話すとただの信者の世迷い言としかとれないが、実際、11eyesはなかなかの良作である。
考現学部の仲間達で賑やかに騒ぐ日常。
考現学部のメンバーに、香央里、匡、マスターを加えた学校やツィベリアダでの日常はなかなかにおもしろい。それは、各キャラクターがそれぞれに個性的で魅力的なところも大きい。11eyesの一つの魅力だ。ちなみに私の気に入っているキャラクターは、美鈴、菊理、香央里あたり。
さらに、幾枚にも及ぶ数の立ち絵による演出をうまく使うことによって、飽きないように工夫してある。この立ち絵差分の量は他の数多の作品を上回るほどの量である。
一方、穏やかな日常に突如侵蝕していく「赤い夜」。
騒がしくも平和な日常と、敵が襲い来る非日常「赤い夜」。この日常と非日常のギャップがうまく出ている。そして、突然訪れる非日常への演出もなかなかうまくきまっている。
仲間達とともに生き抜いていく「赤い夜」。
強大な力を持つ敵を前に、仲間達と力を合わせて敵を倒していくのが良いところ。仲間としてともに戦い、成長していく姿はとても良いと思う。そして、毎回、異なる敵を前にどのように切り抜けて倒していくのか、いつもワクワクして読んでいた。
また、即死選択肢を出すことにより、うまく緊迫感をつくっているのも良かったと思う。
そして、少しずつ断片的に明らかになってくる赤い夜の真実。
リゼットやヴェラードに起きた出来事が赤い夜の成因に関わってくる。
さらに、禁書目録聖庁や草壁操など、様々な者の思惑によって作られた世界。
それらをシナリオでうまくまとめれていたと思う。(最後は多少強引だったが)
良くできたシナリオだった。
非常におもしろかったと思う。
ただ、
日常パートの立ち絵演出は良いが、戦闘シーンの演出が若干弱かったり、
各ヒロインのそれぞれの固有の個別ルート(個別エンド)が不十分であったり、
雪子・賢久のカップリングは最強であるから、雪子個別エンドは不必要であったり、
という不満(欠点)もある。
だが、私はそれ以上に、話に引き込まれ没頭することができ、楽しむことができた。
自身の趣向によるところが大きいのだろうが、これほど楽しめた作品は他にあまりない。
総じてこの11eyes、決して名作とは称されないだろうが、良作であるとは称されるには十分に足りる作品であろう。
以下ネタバレ注意
最後に、本レビューの副題にもなっている”11eyes -罪と罰と贖いの少女-”のタイトルについて
本作の一つの鍵となってくるのがタイトルにもなっている”11eyes”
この”11eyes”とは何を表しているのだろうか?
11eyesとは直訳すると”11の瞳”
一見すると、主人公「駆」が片目であることから、駆達6人(駆・ゆか・美鈴・菊理・雪子・賢久)の瞳の合計数が11個であることが考えられる。だが、11eyesがこの意味であるとすると、中盤の栞の赤い夜への介入によって矛盾が生じてしまう。13eyesになってしまうからだ。したがって、11eyesを”11の瞳”とするには問題がある。
しかし、”eye”の解釈を変えてやることにより、本作において11eyesはもう一つ別の意味を持つ。
それが、”11人の視点”である。
本作では、通常のノベルゲームとは異なり、クロスビジョン(Cross Vision)モードというシステムを搭載している。クロスビジョンモードとは、主人公である皐月駆とは別にそれ以外のキャラクターの視点から物語を見るシステムである。本作においてうまく機能していたこのシステム。物語序盤においては閲覧可能な視点の数は少ないが、話み進むにつれその数が増えていく。
そして最終的にその視点の数は”11”となる。
皐月駆
水無瀬ゆか
草壁美鈴
橘菊理
広原雪子
田島賢久
リゼット(リーゼロッテ)
ヴェラード
草壁操
皐月菊理
デミウルゴス
この11人の視点によって11eyesの物語は紡がれる。
これが11eyesの真の意味ではないかと私は考える。
一方、副題の”罪と罰と贖いの少女”について、これは何を表しているのか?
私は、これは”皐月菊理”のことではないかと思う。
クロスビジョンでは最後に現れ、11eyes”真のヒロイン”ともとれる彼女。
彼女の隠された過去と能力は物語の最後に明らかになる。
デミウルゴスと劫の眼の能力により神にも等しい存在になった彼女。
その彼女は…
人の欲望を持って神の力を行使したために”罪”を背負い、
さらにその強欲を果たしたために”罰” (人でなくなること)
を受けることになる――
そんな彼女の”贖い”は、人としての欲望を禁じ、2度と世界に干渉しないことであった。
これをもって贖罪とする彼女の言う言葉、
すべてよし
かく、あれかし
には彼女の慈愛の心がで満ち溢れている。
そんな想いの元世界を再構築し、仲間達の幸せを願った彼女。
彼女”菊理”のいないエンディングは、この真相を知ると一層切なくなる。
神(観測者)として永遠を生きることに決めた彼女。
そんな彼女に対して行われた一つの救済。
それは、造物主”デミウルゴス”のたった一つの望み”皐月菊理が一人の人間として幸せを掴むこと”であった―
罪と罰と贖いの少女”皐月菊理”
本作”11eyes”はまさに彼女の物語であったと言える。
神から一人の少女として、これからおくる彼女の人生はきっと幸せに満ちていることだろう。
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この11eyesはうまく視点を考慮したとても、よい作品だったと思いました。
菊理に幸、あれかし