Volume7 レビュー 〜複数主人公と複数視点〜
2008年11月30日 (日)
昨年倒産したTarteのスタッフ達による新規ブランド「RococoWorks」の第1作目となる作品。
コンピュータによる未来予測が発達した未来。世界各地で生物の侵入を阻む障壁の発生「スフィア化」が起きる。そんな中、日本の奈々浜ではスフィア内の時間が100年間遡る不思議な現象が起きていた。奈々浜スフィアという場所を中心に、様々な人達の思惑が交差する群像劇。
本作は、外世界編・内世界編・真世界編の3つの大きな章で構成されている。まず一番始めの外世界編では物語の導入として常磐十丸の視点で話が進んでいく。
その次の内世界編では3人の主人公(内世界調査局の十丸・治安管理局の龍護・自然主義団体の八代)の話を選ぶことができ、選んだ主人公の視点で話が進んでいく。それぞれ違う目的の組織に属している主人公達。十丸視点ではわからなかったことが次の龍護視点で明かされ、さらに八代視点では新しい事実が語られるといった具合に話が進んでいくのはおもしろかった。同じ時系列を複数の主人公の視点で語っていくことならではのおもしろさである。
この3人の視点の話が本作の大半を占めており、それぞれ3人の少女(梗香・琴良・さくら)との恋愛劇が描かれる。はじめにプレイした十丸ルートはちょっと退屈だったが、続く龍護ルート、八代ルートの話はなかなかおもしろかった。まあこれは十丸ルートでは十丸が裏事情を全く知らないというのもあるかもしれない。しかし龍護ルートで明かされる琴良の正体は本作で一番衝撃的だった。あの事実にはびっくりする。百合ゲーと名高いカタハネのスタッフが作った物とは思えないくらいに。でもその事実もなんとか解決したので良かった。逆に真世界編ではしっかり百合百合しててカタハネスタッフの作品だと安心したわけだが…。
そして最後を締めくくる真世界編。ここではほぼ全てのキャラクターの視点を駆使して話が進んでいく。視点の数が1人→3人(ヒロインの視点を含めると6人)→10人以上とゲームが進行するにつれ増え物語も加速度的に進んでいく。総勢10人以上にも及ぶザッピングである。それだけの視点を使うだけあって、この真世界編は物語の真相が一気に明かされていく様はおもしろかった。
ただ、最後の締めをもっと丁寧に描いて欲しかったところ。個人的にはちょっと納得いかなかった感じ。物語を引っ張っていくはずのTAKUMAやヴァレンティナの目的がはっきりしていなかったのが良くなかったのかもしれない。ここがもうちょっと良くできていたら良作になったのだが…。未来予測にスフィア、タイムクエイク、不定因子、仮装物理といろいろおもしろい舞台設定を用意していただけに惜しい。
処女作はまずまずの出来だったRococoWorks。次回作に期待。







